更新日:2016年04月08日
残留農薬への挑戦
残留農薬の改善のチャレンジ
秋川牧園の昭和47年からの歴史は、そのまま、食の安全性の確立のための戦いの歴史でもあります。昭和47年といえば、まだ食の安全性を考える人はほんの少数派でしたが、私たちは水俣病やカネミ油症事件などの公害問題も背景にして、いち早くその重要性を感じ取ったのでした。
まず、最初に取り組んだのが、卵やお肉に対する残留農薬の改善でした。
普通、農薬というとお野菜やお米を思い浮かべますが、畜産品においても重要な問題があるのです。
それは、飼料からくる残留農薬で、家畜の体内で分解されなかったものが残留するだけに、かえってタチが悪い農薬が検出されるのです。
それらの化学物質のグループは「有機塩素系」というもので、DDTやBHCやPCBが該当します。
秋川牧園では、飼料の改善を重ねることで、それらの残留が0.001PPM以下という自主基準をクリアすることができるようになりました。
そのポイントは、秋川牧園独自の「植物性飼料」を開発できたことです。
一般には、少しでもコストを落とすことと、鶏自体が動物性の飼料を欲しがることから、肉骨粉や魚粉や油脂などを多用します。
これに対し、秋川牧園は、最初は生産性が下がって大変だったのですが、一切、動物性の原料を使用しない、オリジナルの植物性飼料を開発できたのです。
皆さんも、BSEをきっかけに、畜産業界が肉骨粉なるものを使用している実態を知られたと思いますが、秋川牧園では、牛はもちろん、豚も鶏も一切肉骨粉は使用していません。
このことは、安全性はもちろんですが、同時に、お肉や卵の風味がよくなる、というメリットももたらしてくれました。
残留農薬改善が環境ホルモン安心につながった
また、この残留農薬改善の取り組みが何年も後になって、大きな意味があることを知ることとなります。
それは、環境ホルモンの問題です。
環境ホルモンは、PPMの桁からさらに微量のピコグラムの世界で、体に様々な悪影響を与えることがわかってきました。
そして、その環境ホルモンの疑いのある物質として、先ほどの有機塩素系の化学物質がことごとく指定されたのです。
また、地球上最悪の化学物質といわれるダイオキシンも有機塩素系の化学物質ですが、秋川牧園の牛乳や卵のダイオキシンの値を分析してみたところ、非常に低い値であることがわかったことも、後になって知った残留農薬の取り組みの成果でした。
- 例えば、秋川牧園の牛乳のダイオキシンを分析したところ、厚生労働省の発表した市販の牛乳の平均値よりも、300分の1という少なさでした。