更新日:2018年05月31日
お乳をいただきます/むつみ牧場(山口県)
牧場のお仕事としての醍醐味と言えば「搾乳」。一見簡単そうですが、実は奥が深く、難しい作業です。秋川牧園の牛乳を生産するむつみ牧場の搾乳現場で実際の様子を聞いてきました!
搾乳は1日2回、ごはんタイムの間に。
むつみ牧場では、朝と夜の2 回搾乳をしています。ウシ達がごはんを食べている間にパーラー(搾乳舎)の洗浄。ごはんを食べ終わり、マッタリとしてきた頃、搾乳が始まります。むつみ牧場にいる乳牛は現在およそ50頭。約15頭ずつに分け、搾乳→パーラーの洗浄の流れを3 回転行い、約1時間程度ですべてのウシの搾乳を終えます。そして、再びごはんタイム。お乳を出してくれたウシ達はごはんを食べて元気をチャージします。
「搾乳の後にごはんを食べさせるのには実は他にも理由があるんだよ」と手嶋牧場長。「搾乳した後の牛の乳頭は、しばらくの間は少し開いたままの状態。牛舎でそのまま寝転んだりすると、地面に着いた乳頭にバイ菌が入り炎症を起こしたりする可能性があるから、ごはんをあげて、わざと立った姿勢にさせるんだよ。」
簡単には出来ない搾乳
「搾乳を慣れていない人がやると、ウシにはすぐバレる。ウシは嫌がって後ろ足で払い退けたりするから、なかなか難しいんだ。」と手嶋牧場長。搾乳ではミルカーという搾乳機器のカップをウシの乳頭にはめ、コントローラーのスイッチを押すと搾乳が始まり、機械が乳量や乳質を測りながら生乳をタンクへ運んでくれます。ですが、ミルカーを取り付けるスピードやウシの性格・その日の状態などを把握していないと、ウシが抵抗することも。また、乳頭を傷つけてしまうこともあるため、熟達した技術が問われます。
新人スタッフも難しさを実感
ウシ1頭1頭のことを把握し、手慣れた様子で搾乳をこなすむつみ牧場スタッフの中に1人、今年4月に仲間入りした新入社員・中西の姿も。手嶋牧場長の話の通り、最初は搾乳の際に蹴られそうになるなどウシから洗礼を受けたこともあるそうですが、だんだんと慣れ、先輩に追い付けるよう一所懸命に搾乳を行っていました。
取材を終えて
ウシ達は皆、後ろ足で蹴られたら、ひとたまりもなさそうな立派な体格。牧場スタッフは、好奇心旺盛な牛やデリケートな牛など1頭1頭の性格の違いを把握しており、搾乳中もウシ達はとてもリラックスしている様子。ここでも日々の信頼関係とプロの技を感じました。