更新日:2018年05月05日
プリッとした弾力!/岡虎(山口県)
蒲鉾やちくわなど、秋川牧園で人気の練り物を製造している岡虎さん。明治期に創業した老舗メーカーです。工場長の中司さんのご案内のもと、工場を見学させていただきました。
伝統を受け継ぐ岡虎
明治10年頃、山口県防府市の岡村町という地区に初代・貞政虎吉さんが鮮魚仲買業と竹輪製造業を始めたのが岡虎の出発点。現在では、瀬戸内海を望む防府市の地で、近海の魚などを使った練り物製造を6代目・貞政芳郎 代表取締役が受け継いでいます。秋川牧園でご案内している「自然派良品」や「無添食彩」などリン酸塩不使用のすり身を用い、化学調味料などを使用しないシリーズも展開。風味はもちろん、原材料や安心面にもこだわりを持つメーカーです。
魚肉すり身が大変身!
蒸し上げたら蒲鉾に、串で成型して焼けばちくわに、揚げれば野菜天などに。魚肉すり身が調理の違いで、あれよあれよと様々な姿に変身する製造工場は、テーマ―パークのような面白さ!ちくわを作る機械では、四角く型抜いたすり身を金属の串にくるりと巻き上げ、その串がくるくると回転しながら焼きライン上をゆっくりと進んでいきます。じっくりと全体を焼き上げることで、ムラなく焼き色が付いたちくわに仕上がるそうです。
さらに、中司さん曰く、食感を出すために重要なのが〝すわり″という工程。「いきなり火力を上げるのではなく、やや低温で一定時間サウナ状態にする〝すわり″を行い熟成させることで、練り物にプリプリとした弾力が生まれるんです」。
さつまいもがゴロゴロッ
特に香ばしい香りが漂ってきたのが、昨年秋にご案内が始まった「無添食彩 さつまいも天」の製造ライン。1cm強の角切りさつまいもがゴロゴロ混ざったすり身が丸く型抜かれ、香ばしく揚げられます。製造されていたスタッフさんは、最初、型の厚みを変えて目方(重量)を合わせる作業を丁寧に行っていました。具材が均一に混ざらないと、作るたびにタネの重さが変わるので、その調整に手間がかかり、大変なのだとか。
そして無事に目方が整うと、どんどん型抜きがされ、揚げ工程に。揚げる際には、まず150℃でじっくりと型が崩れないよう結着させながら揚げ、そして170℃できれいな揚げ色に仕上げるそう。揚げたての美味しさは、もちろん格別!魚肉が香ばしく、ほんのり甘くてホクホクとしたさつまいもがたっぷり入っていて、思わず顔がほころぶ美味しさでした。
「安心」のある美味しさをつくる
一般的に、原材料の魚肉すり身には保水性を高めてプリッとした食感を出すために「リン酸塩」が使われることが多い練り物。岡虎さんも、県下ではリン酸塩を添加したすり身を使った商品も販売していますが、秋川牧園でご案内している練り物はリン酸塩無添加のすり身を使用した特別な商品。リン酸塩不使用のすり身を特別に確保していますが、食感や日持ちを良くするには職人としての腕が試されます。
リン酸塩を使用しない代わりに、すり身には砂糖を加えて食感の劣化を防ぎ、塩分や製造方法も工夫して、岡虎さんではプリッとした食感を出しているそうです。
さらに、清掃の行き届いた清潔な工場で衛生管理を徹底することで日持ちを良くし、揚げ物には風味の良い一番搾り菜種油を使用して、魚肉本来の旨味を活かす工夫により、保存料や化学調味料なども不使用に。岡虎さんの安心へのこだわりと伝統の技術により、「自然派良品」や「無添食彩」シリーズは生まれたのです。
岡虎さんの練り物のような比較的、弾力のあるプリプリとした食感は、山口県界隈の練り物の特色。伝統的な味・食感を守る岡虎さんは、地域でも愛されている存在です。バリエーションも豊富な岡虎さんの練り物をぜひ今後もお楽しみください♪