更新日:2016年09月30日
本場が認めた「世界の味」を/朝日屋(山口県)
山口県下松市にあるハムやベーコン等の食肉加工製造をしている、有限会社朝日屋さんは、秋川牧園の『黒豚ウインナー』や『秋川お弁当ウインナー』『チ キンウインナー』、ハムやベーコン等を製造いただいています。その確かな技術から、TVや雑誌など数多くのメディアに取り上げられたり、本場ドイツのコ ンクールで金賞を獲るなど素晴らしい実績のある朝日屋さん。山口県…いや世界が認めた味は、いったいどのようにしてつくられるのか?期待に胸を膨らませ、いざ突撃です!
ポイントは「クリーミー」!
工程①ウインナーの中身「ベース」作り
今回は秋川でも人気のある、「秋川お弁当ウインナー」の製造現場を見学。原料は秋川の豚肉の他は、香辛料と塩だけ、いたってシンプル。市販品によく使用される保存料や発色剤は一切使用していません。
専用機械で原料の豚肉、香辛料、豚脂をクリーミーになるまで混ぜ合わせる「ベース」作りから始まります。ここで驚いたのが一緒に大量の氷を投入したこと。
「え?氷なんか入れたら固まってしまうんじゃ…」
実は原料を混ぜる際、水を加えて、本来混ざらない脂と水を1分間に5000回転数の高速カッティングで結着させます(乳化作用)。その際、温度が上がると脂肪が分離してしまうので、乳化しやすい温度まで下げるため「氷」を使うんだそう。乳化作業は「ベース」の見た目の変化や温度管理が非常に大切になってくるので、人の目で状態を確認しながら行います。
その後、別の機械で粗挽きにしておいた豚肉ミンチを加え、ベースと混ぜ合わせることで、歯ごたえのあるウインナーの中身が完成します。
まさに職人技!
工程②腸詰
続いては腸詰の作業です。使用するのはニュージーランド産の天然羊腸。透かして見ると、向こうの景色が見えるほどの薄さ。専用機械を使い、工程①で作った中身を腸にどんどんつめていきます。
その素早い手裁きに見惚れていると「やってみますか?」とお声をいただき、体験させていただくことに。しかし・・・これが非常に難しい!腸から中身がはみ出たり、細長~いものができたりと失敗の連続でした…いとも簡単に作業されていましたが、同じ大きさ・重さにするには、経験を積まないとできない職人技だったのです。
何とも言えない香ばしさ!
工程③乾燥・燻製
最後は燻製…とその前に重要なのが、ウインナーを「乾燥」させる工程。表面が濡れていると燻製時に煙がつかず、きれいな色に仕上がらないので、乾燥機にいれ十分乾燥させた後、燻製にかけます。乾燥を終えたウインナーを燻製機に入れ換え、チップ(木材)を燻製機の引き出しに入れて火をつけます。基本は60℃で13分ですが、季節や気温、湿度によって微調整するのだそう。まさに職人の勘がものを言うデリケートな作業です。
まもなくすると燻製時の良い香りが部屋一面に充満してきました。深みがあり力強い香りに思わず目を閉じ、しばらく香りを楽しみました。その後、風味を良くするためボイルすれば完成。
出来たては、パリッとジューシー♪市販のウインナーと比べると、無添加ならではの肉の風味が口いっぱいに広がる格別なおいしさでした。取材に行く前までは、ほとんど機械化された工場で製造されていると思っていた私。実は人の経験や勘がなければ成り立たない作業だということを強く感じました。