更新日:2016年10月14日
干物ワールド広がる!/渡邊水産(島根県)
昨今の海産物資源の減少に加え、食の魚離れなど、昔に比べ食卓にのぼる機会 も少なくなってきた魚。昔から食べられていた日本の伝統食ともいえる干物も、最 近では、魚の焼き方がわからない、骨があるので食べられない、といった声もあるほ ど。果たして将来、干物は存続していけるでしょうか? でも、渡邊水産さんの話を聞くと、なんだか魚が食べたくなってきちゃう…かも!?
「本物」は支持される
冷蔵設備が今ほど発達していなかった数十年前までは、干物 は鮮魚として食べ切れなかった魚や安い雑魚などを無駄なく食べ るための保存食という位置づけだったそう。売れ残った魚を少しで もお金にかえようと魚屋同士は安売り合戦となり、買う側もそれほ ど新鮮じゃないけど安く 手に入れて干物を作ろ うか・・・が、普通だった時代。そんな中でも島根 県にある渡邊水産は考え方が異なりました。
干物の材料は魚と 塩。その素材がいいものじゃないなら、そもそもおいしい干物なんてできないのでは?
「干物は余りものの食」じゃあ、つま らない!と、社長のお父さんの代から、原料には安く買ったもので はなく、刺身で食べられるほど鮮度抜群の魚を購入。余りもので はなく、おいしい食べ物としての干物、食べ物としての本物、 という干物づくりにこだわりました。
添加物や保存料など使わず、昔からあるシンプルな素材で当た り前の食をつくること。食品加工会社としてのポリシーをこう話す 渡邊水産の「本物の味」は、現在、多くの人に支持されています。
素材を活かすウデ
スーパーなどに並ぶ干物の中には、大きく立派に見せようと、 しっかり干さず、水分が多く残ったままのものも。その結果、解凍す ると旨味がドリップとして流れ出て、焼いても水っぽさが残ってしま います。大きさ、重さからだけでは一概に美味しさははかれません。 その他、着色しておいしそうに見せていることもありますよね。一方、渡邊水産の干 物。一匹一匹手作業で下 処理し、魚の種類や大き さ、身の厚さ、脂のり、季節、その日の気温や湿度 によって、塩加減や乾燥 時間など細かな調整をし て作られています。
保存食とされていた干物は水分量50%程度でしたが、渡邊水 産では現代の私たちにあった焼き上がりの食感を追求。身の水 分量を60%程度残して皮目を乾燥させ、旨味を閉じ込めていま す。一見小さく見えますが、身に閉じ込められた水分が加熱によっ て内から膨らみ、焼き上がりはふっくら。旨味を閉じ込めているので 味も濃いのです。
キーワードは「おもろい」
干物は焼いて食べる。そんな調理法以外、なかなか思いつきま せんよね。いかに美味しいとはいっても、調理法が限られれば毎日食べ続 けられるものでもない、と思うのは皆同じようです。そこで料理好き の社長の一はじめさん。ある日、ご 家庭でしている“おもろい 調理法”を営業先で見せた ところ、「何それ?そんな食 べ方できるの!」と、注目さ れ、実際に食べると「美味し い!」しかも、「調理もおもし ろいし、手軽」と評判に。
この “おもろさ”が、魚を食べるきっ かけになれば、と話します。 その調理法を、先日少しだけ、一(はじめ)社長にご教授いただきました。私たちスタッフもオドロキ、感動した「干物ワー ルド」、是非ご覧下さい♪