更新日:2016年05月02日

採卵鶏舎に助っ人として参加!/採卵鶏平飼鶏舎(山口県)

山口県の秋川牧園敷地内にある鶏舎。そこには『秋川平飼いたまご』を産む、約1300羽の採卵鶏がいます。

秋川牧園平飼い鶏舎

この鶏たちがワクチン接種を行うということで、その助っ人として、普段は農場作業をしない会員様への宅配の業務を行う直販部のスタッフが参加してきましたので、その様子をご紹介します。

 

抗生物質は使用していません

秋川牧園では、生後75日齢前後で鶏舎に導入した鶏に、予防接種として混合のワクチンを1回接種します。こうすることで、ニューカッスル病や鶏のマイコプラズマ病など鶏の感染症から守れるのです。ここで注意したいのが、ワクチンと抗生物質は異なるものであるということ。鶏自身の免疫力を高めてくれるのがワクチンなのです。

 ワクチンと抗生物質の違い

「ワクチン」と「抗生物質」は私たちになじみのある薬で、同じように病気を予防したり治したりするものですが、その違いについては意外と知らない方が多いと思います。

「ワクチン」・・・毒性をなくした(弱めた)病原体(細菌、ウイルス)のこと。

病気にかからない程度に弱くしたウイルスを体の中に注射することで、人間や動物が持っている抗原抗体反応、つまり体内に入ってきたウイルスをやっつける能力を使って、病気に抵抗できる体を作ります。

「抗生物質」・・・病気を直接やっつける成分、いわゆる薬のこと。

私たち人がインフルエンザにかかった場合、体内でウ イルスをやっつける耐性が自然に出来るのを待つか、抗生物質を使ってインフルエンザウイルスを直接やっつけてしまうか、いずれかで病気を治します。抗生物質の薬を飲んだり、注射したりして治すこと自体は通常は問題ないのですが、必要以上に使いすぎると「薬(抗生物質)が効かない菌」いわゆる「耐性菌」がどんどん出現してしまい、実際に病気にかかった時に、効く薬がなくなってしまうことが大問題です。今、院内感染を始め、人間社会で様々な問題を引き起こしているのは、この耐性菌 です。

特に畜産では、家畜の病気の予防を兼ね、不用意に抗生物質をエサに入れることが多く、家畜に使われた抗生物質が原因で新しい耐性菌が出現しています。その耐性菌が家畜のお肉や卵を通じて人に感染し、「治す薬(抗生物質)が無い病気」が発生してしまうのです。

病気にかかっても、治す薬があって、安心して生活が過ごせるように、お肉の段階から抗生物質の使用には注意が必要なのです。(尚、秋川牧園の鶏・卵・豚・牛は、肥育期間中、抗生物質を使用していません。)

 

逃げ足の速い鶏に右往左往

防護服に着替えたら、いよいよ作業スタート。この日の私の仕事は、鶏を捕まえワクチン接種を行う獣医師に渡すというもの。

生産部のスタッフが慣れた様子で次々と鶏を捕まえる中、機敏な動きで逃げる鶏たちに私は右往左往。少しでも躊躇してしまうと、元気な鶏たちはあっという間に逃げてしまいます。ですが回数を重ねるうちに、「思いっきり掴むと痛いかな…」なんて最初のドキドキはどこへやら。終盤はテンポよく捕まえることが出来ました。

最初は約1300羽いた鶏も残り200羽程度になった頃、徐々に疲れで右手がプルプル…。生後75日と言っても、一羽の重さは約1kg。恥ずかしながら終盤は、逃げようと頑張る鶏たちよりも、自分の体力との戦いでした。

 

最後の1羽は…

ワクチン接種もついに最後の1羽!

最後の一羽。 仲間が捕まっていく中、さぞドキドキしていることでしょう・・・!

最後の一羽。
仲間が捕まっていく中、さぞドキドキしていることでしょう・・・!

ですが、この鶏がとってもすばしっこかったのです。スタッフ数人で四方から挟みうちし、「よし!捕まえた!」と思ったのもつかの間。その手からスルスルっと逃げられてしまいます。

逃げ足の速さにカメラも追いつけず。

逃げ足の速さにカメラも追いつけず。

その表情はなんだか、「ふっ 速いだろ」なんて言っているような勝ち誇った表情でした。

飛ぶように走ります。

飛ぶように走ります。

 

苦戦しながらも、最後の1羽を捕まえ接種し、この日の作業は無事終了。

人間でも怖い注射。そんな注射を2ヶ所も同時にするなんて、鶏たちも怖かったことでしょう。ですが、時間にするとたった数秒のワクチンで、鶏たちはこれから数年も元気に過ごすことが出来るのです。鶏にとっても私たちにとっても大変な作業ではありますが、ワクチン接種の大切さを改めて感じた1日となりました。

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