更新日:2016年02月12日
天空のお茶屋さんを訪ねて/天野製茶園(熊本県)
霧が立ち込め、海が見渡せる。
まるで天空のお茶屋さん。
天の製茶園がある熊本県水俣市はかつて公害がおこった地。 そんな公害が起こったからこそ、自分達が頑張らないといけないと奮闘されています。
天野さんが作るお茶は化学合成農薬・化学肥料不使用。水俣で、自ら加害者になりたくない、新たに被害者を出したくないという強い気持ちがあったからだそう。
標高が高い天の製茶園は影響がなかったものの、「公害があった水俣だからこそ、さらに農薬を使って公害を出したくないし、安全なものを届けたい」と天野さんは語ります。そしてそんな気持ちと行動が天野さんに共感してくれる人達に広がり、今ではお茶作りをするために海外からも研修生が来ていて、ここ天野製茶園の認知度、そして評価が高いことが伺えます。天野製茶園のお茶作りは海外の人の心も動かし、行動が形になって表れていることに、尊敬の念を抱きました。
隣の畑はキレイだけど
天の製茶園の茶畑がある場所は、あたり一面薄く白い霧に覆われ、まるで物語の世界にいるよう。ひんやりした澄んだ空気。
それもそのはず、ここは標高600m。平地とは気温が10℃違う上に、朝夕の寒暖差もあり美味しいお茶が育ちます。
茶畑を案内されていると、天野さんから「あそこの茶畑が見える?ウチの畑と違って、緑がキレイだと思わない?」そう言われて見比べると、確かに指された茶畑は天野さんの茶畑と違い、緑がとても濃くきれいです。
「化学肥料の力なんですよ。化学肥料を多く使えばたくさん窒素分を吸収して葉が多く茂り、濃くキレイに見える。でも考えてみて。必要以上の化学肥料で育ったお茶と、見た目は余り良くないかもしれないけど(※)、体に優しいお茶。きっと、健康のことを考えると後者の方がいいよね。農薬も使わないから草取りは大変だけど。」そう言う天野さんの目は優しげでした。草取りはするのはもちろん人の手。また、化学合成農薬を使用しないので、茶木の天敵、チャドクガの幼虫が大発生して葉を食べてしまう年もあるそうです。この広大な茶畑を草取りするのは、いった い何日かかるのだろう…そう考えると、天野さんの苦労、そしてお茶にかける思いがとても大きなものなのだと実感しました。
茶畑を案内されている途中、「なぜ他の茶畑は化学肥料を使わなければいけないのだろう?」ということを考えていました。天野さんに聞いてみると、それは卸の縛りがあるという理由からでした。お茶があまり売れないから卸を通して売る、そのためには見た目をキレイにするしかない→化学肥料を使わなければいけない→キレイだとまた売れる→そしてまた使う…という悪循環に陥っているのです。「お茶があまり売れない、飲まない」という現状が化学肥料の使用を助長させていたことに驚きました。
私は朝仕事前に、天の紅茶でミルクティーを煎れます。この体に優しい一杯を飲むことが、一日を素敵なモノにしてくれると思っているから。「天の紅茶」は砂糖なしでも甘みがあり、口当たりが優しく飲みやすい味。「天のほうじ茶」は香ばしくまろやか。私もその美味しさから大ファンのお茶です。 貴方も一杯から天野さんのような考えに共感してみませんか。