更新日:2013年08月30日

「地域を守る」自給飼料への取り組み/むつみ牧場(山口県)

耕作放棄地への挑戦  ・・・今、そこに緑が甦る

むつみ牧場とひまわりともに「小京都」と呼ばれる「萩」と「津和野」を結ぶ道すがら、思わず車を止めてひまわりを撮影する、そんな方も多くいらっしゃる・・・そんな素敵な景色に巡り合います。そこは、一面に広がるひまわり畑。そしてその奥にある赤い牛舎の屋根。ここが、秋川牧園の主力の牛乳生産農場、むつみ牧場なのです。萩市むつみ(旧むつみ村)。「ひまわりロード」とも呼ばれるその地域にも、過疎と荒廃地の問題が忍び寄っているのです。

 

高齢化率48%

むつみ地域は標高350mの冷涼な気候、水はけがよく農耕地に適した火山灰土壌で、大根やトマトの名産地でもあります。そんなむつみ地域の高齢化率はすでに48%にも達しています。この土質に恵まれたむつみ地域でさえ、高齢により田畑を耕すことが難しく、耕作放棄地が近年増え続けているのです。そこで、秋川牧園、むつみ牧場のメンバーが立ち上がり、近隣に広がる耕作放棄地を開墾、牛に食べさせる牧草「自給飼料への取り組み」を始めました。

 

 

開墾予定の農地

これから開墾予定の農地。奥野大木含め1.5m以上の草木に覆われています。

「うちの農地も耕して!」

強い地元の願いに応えて

2011年秋。「より安心安全な自給飼料を!」むつみ牧場 手嶋さんのプロジェクトがスタートしました。初めは牧場近くの3人の農家の方との提携で始まったこのプロジェクトも、今では10人までに、その輪が拡がっています。「代々、守ってきた自分の土地を他人に貸す」ということには多少なりとも不安があったのは事実すが、2年目からは、「うちの農地も耕してほしい」と 多くの方から頼まれるようになりました。

 

牧場長の手嶋弘貴さん「目の前に広がる藪を見て、 これが畑になるとは  思えなかった」

今では 道の駅建設計画までに 拡がった

「初めは無謀としか思えなかったよ!」と語る手嶋さん。うっそうと茂る樹木を前に、草刈り機1台を手に、むつみ牧場と秋川牧園スタッフの総勢5人足らずで始まった開墾でした。

開墾地から出た大小の石の一部

開墾地から出た大小の石の一部。すべて地道な作業で取り除かれます。

やっかいなのは、機械に絡まるつる雑草のカズラや、大小の石(火山培土なので溶岩が多い!)、目の前に立ちはだかる大木。どれも、とても難敵。手嶋さんたち、むつみ牧場の二人は毎日の牛の世話があり、秋川牧園スタッフも普段の業務の合間を縫って作業。そのため、手嶋さんを始め、牧場スタッフは朝から晩まで作業し通し、その立ち上げには3ヶ月もかかりました。

それが今では5haまで開墾し、今年度は目指せ10ha!牧草以外にも、豊かな土壌を生かして野菜も育てています!景観もすっかりきれいになって、今では、むつみ牧場のすぐ近くに、道の駅建設計画にも拍車がかかりそうです!新しい道の駅に、むつみ牧場の牛乳や野菜が並び、それらを使った食堂もオープンするというお話も現実のものになりそうです。

 

「自給飼料から始まった耕作放棄地の開墾。農業としての採算だけで考えると、それは大変厳しいものかもしれません。しかし、それが地域の再生・活性化に貢献できるとすれば、目先の利益だけではない新しい価値を感じる、そして、自分たちにとっても、なによりも楽しい」と話す手嶋さんや生産部の面々。彼らの横顔を見つめる時、これからのさらなる発展が果てしなく楽しみなのです!

開墾した牧草地

一面、開墾した牧草地!

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