更新日:2015年04月25日
卵の生産者のコレステロールのお話
食べ物からのコレステロールの目標量が撤廃!
秋川牧園では、卵の生産者として、卵の食品としての素晴らしさを、ことあるごとに消費者の皆さんにお伝えしてきました。しかし、その時に必ずでてくるのが「卵はコレステロールが多いから、1日1個までですよね。」という誤解でした。
とはいえ、ここ数年は正しい情報が徐々に広がり、卵は1日2個、3個食べても問題なし、という理解も大分進んできました。
そして、ついに国もそのことを明確にしてくれました! 2015年度版の「日本人の食事摂取基準」で、食事からのコレステロールの摂取量の上限目標値を撤廃したのです。
「日本人の食事摂取基準」とは、いろんな栄養素について“どれくらい食べればよいか”の基準を厚生労働省が示したもの。この本を基に日本中の栄養士が、給食や食堂などの献立を考えています。
食べ物と血中コレステロールの本当の関係とは?
以前の「食事摂取基準」では、コレステロールは、成人男性1日750mg未満、成人女性600mg未満と摂取する目標量が定められていました。しかし、2015年度からその目標量の設定自体が無くなったというわけです。
その理由は、一つには食事からコレステロールを摂っても、そのまま血中コレステロール値に反映される訳ではないことがはっきりしてきたこと。そして二つ目は、コレステロールを多く摂取することと、心筋梗塞や動脈硬化症といった疾病との関連が認められなかったからです。
アメリカからこんなニュースが!
さらに、アメリカからはこんなニュースが飛び込んできました!
「食べ物からのコレステロールの摂取制限は必要ない」とアメリカ政府が発表したのです。アメリカでもこれまでは、コレステロールの摂取量は1日何mg以下が望ましいという指針がありました。しかし、コレステロールを多く含む卵やイクラなどを避けて摂取量を減らしても、血中コレステロール濃度はほとんど変わらないという研究結果などを、今回正式に認めたというわけです。
少なくてもいけないコレステロール
そもそもコレステロールは、生きていく上で欠かせない大切な栄養素。私たちの体の約60兆個の細胞の細胞膜の構成成分になったり、脂肪の消化吸収を助ける胆汁酸の材料になってくれたりしています。
また、あまり知られていませんが、必要なコレステロールの約8割は、実は体内で合成されています。そこで、食事からのコレステロールが多い時は、体内での合成量を減らし、逆に摂取量が少ない時には体内での合成量を増やしてくれるのです。だから、食事からの摂取量が多めでも、血中の濃度は一定に保たれるのですね。
卵を賢く食べよう!
ただし、体内で合成されるからと言って、食事からのコレステロールを極端に制限しても構わないという訳ではありません。コレステロールは、卵をはじめ、お肉や魚などたんぱく質が豊富な食べ物に多く含まれます。そのため、コレステロールを気にして制限ばかりしていると、結果としてたんぱく質不足につながるリスクが高まるのです。
おおざっぱにいうと、1日に少なくとも摂りたいたんぱく質の量は、体重1キロ当たり1gくらいです。60キロの人なら約60g。これに対して、卵は1個で約7gのたんぱく質があります。しかも、物価の優等生というだけあって、卵はコストパフォーマンスが最高なたんぱく源の一つなのです。
もちろん何でも「過ぎたるは及ばざるが如し」ですが、食事とコレステロールの関係を正しく知って、卵をおいしく、楽しく、賢く食べてくださいね。