更新日:2015年12月26日

自家製粉する数少ない蕎麦屋さん/本田商店(島根県)

秋川牧園×本田商店

国内でも蕎麦どころといえば、信州蕎麦の長野、わんこそばの岩手、沖縄そばなどが有名ですが、島根県もその1つ、出雲そばの産地です。 ところ変われば蕎麦の特徴もまた異なるもので、色白美人の信州そばと出雲そばとを比べてみると如実に違うのが、その麺の色。出雲そば一番の特徴とも言える、蕎麦の実を丸ごと使う、「挽きぐるみ」という製法によって作られる蕎麦は色が黒く、香りの高さが魅力です。そんな出雲の地の こだわり蕎麦屋さん、島根県の本田商店さんを訪ねました。

秋川牧園×本田商店

 

製粉できる製麺所

本田商店は大正2年、そばの製粉業、製麺業などを商いとして創業。先代の子供さんのアレルギーから、「食べ物に含まれている添加物が原因なのでは」、「子供には“本物”の“いいもの”」を食べさせたい」と、今まで製造していた商品を見直し、20~30年前から、国産、有機、無添加などこだわった商品にシフト転換。「食べて美味しい」、「体に美味しい」をモットーに、日々、蕎麦を作られています。

 

ところで、「製粉」業と「製麺」業。意外にも、日本でこの二つを兼ね備えている製麺所は珍しく、製麺所の多くは大手製 粉会社の挽いた粉を使って製麺するのが主流なんだそうです。 そば粉も、そばの実のどこを削ったかで各パーツに分けて製麺され、あえて指定しなければ、一般の製麺所ではそばの実を丸ごと使うことはありません。 本田商店は、その全国でも10件あるかどうかの、自家製粉をする数少ないそばの製麺所。

年季の入った製粉機

年季の入った製粉機

自家製粉できるから、素材の素性もしっかり把握。各パーツに分けることなく、挽いたそば粉はすべて自社で使えます。また、挽きぐるみ製法で挽いた「全粒粉そば粉」は、殻を取りはずして黒っぽい色 の甘皮ごと挽いているため、色黒の麺にはなりますが、ポリフェノールやルチンなどを多く含んでいるため、そばの効能も、栄養価もそのまま、 丸ごと詰まった蕎麦ができあがります。さらに、挽きたての鮮度のよいそば粉を使うことができるということが、本田商店ならではの特長。風味が飛ばず、甘く、味のしっかりある蕎麦となる理由なんです。

蕎麦の実

蕎麦の実

日本の、昔の、蕎麦づくり

身近な食品「蕎麦」ですが、今では食生活の多様化により、パスタやラーメンなどに押され、全国的にそばの栽培量も減ってきています。現在、日本で消費される蕎麦は、1年間で約13万トン(平成22年農林水産省データによる)。そのうち私たちが消費する8~9割が北米やカナダ、中国等、海外産のそばや小麦を原料としており、国産原料の蕎麦は圧倒的少数派。

オートメーション化もされています。

オートメーション化もされています。

ちなみに国内の蕎麦の産地としては北海道が約4割と最も多く、他は長野、福島、山形、茨城、福井など。国産原料でできた蕎麦はどこでも食べられるものではなくなってしまいました。 また、栄養価が高いといわれる蕎麦ですが、市販されている蕎麦の中には、保存料や添加物が使用されているものもあり、一概に身体にいい、とは言い切れないものも。本田商店でも、国産原料のほか、海外産原料を使用した蕎麦も作られていますが、こだわっているのは昔ながらの何も入れない、本物の蕎麦。食べるだけじゃなく、身体にとっても、いいもの、美味しいもの。本田商店さんは、そんな蕎麦を作っています。

 

秋川牧園×本田商店

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