更新日:2018年01月24日

あなたの畑・あなたの牧場がここにある(アグリロハス1月号)

食費の勝負は、動物性タンパク質の摂り方で決まる

前回は、「食の安心安全は、誰もが食べられる」というお話をしました。栄養当たりのコストを考えれば、今の食費のままでも安心安全な食は食べられるのです。そして、その勝負は、動物性タンパク質の摂り方で決まります。少し大袈裟に表現させていただければ、それを知るか知らないかで、賢明な人生への岐路ともなるお話をお伝えしましょう。

日本の食費統計では、1日当たりの食費として、800円程度で推移しています。その食費のうち、一番に必要で、しかし食費を要するものとして、タンパク質、中でもお肉等の動物性タンパク質が挙げられます。タンパク質、特に動物性タンパク質は、子どもの成長だけでなく、成年になっても、老齢になっても、現在の栄養学の見識の中では、重要なものだと考えられています。もともと半世紀前、平均的には日本人の背が低かったのは、その主要な原因として、タンパク質、とりわけ動物性タンパク質の不足だと考えられています。

今、日本でも、20年から30年と言う長い潜伏期を経て、ガンの多発が続いていますが、それでも、平均寿命が80代以上と伸びているその実績の貢献者として、日本人が魚だけでなく、卵やお肉を十分に食べることができるようになったことが大きく貢献していると考えています。

こんなお話をしても、「ええ!うそ!そんなこと信じられない」そんな返事が返ってくることでしょう。しかも、今までの栄養大不満足が「栄養満足で健康ハツラツ」という大きなオマケまでくっついてくるのですから、まさに、これをもって一石二鳥と言わずしてなにがそうかという感じです。

私はこの提案について、今から17年前の2000年頃から集中的に研究を重ね、この5年前頃から、先ずは日本からということで、この世紀の提案を始めているのです。健康には、先ずは、安心安全な食べ物が必要です。

 

動物性タンパク質は、美味しくて、安価なもので摂る!

タンパク質は1日当たり平均50~80g程度必要です。そして、順調な発育、そして健康的な長寿を全うするために、タンパク質の半分は、動物性タンパク質が必要なのです。

発育盛りの青年期では80g程度、老齢者でも頭髪だけでなく、皮膚も内臓も、細胞が新陳代謝していくもの。細胞の主体はタンパク質だから、タンパク質は大切です。タンパク質、脂質、炭水化物の三大栄養素の中で、一番お値段が高いのがタンパク質。タンパク質のうち、最低半分は欲しい動物性タンパク質が、植物性タンパク質より一番お値段が高くなるのです。

そこで、「動物性タンパク質を制するものが食費を制する」。こんな言葉が生まれてきそうです。ではなぜ、動物性タンパク質は、お値段が高くなるのでしょうか?

その問いに対して、私はいつもこのように答えています。

「それは、命をいただくからです」と・・・。家畜が大きくならなくても、また、卵や乳を生産しなくても、その家畜たちは命を維持するだけで、カロリー、タンパク質、そしてビタミン、ミネラル等が必要です。そして、その体を維持するために必要な飼料のことを、家畜の栄養学では「維持飼料」と呼んでいます。一方で鶏や牛が大きくなり、卵やお肉、また牛乳等を生産するための飼料のことを「生産飼料」と呼んでいます。これら畜産生産物の分野では、家畜の維持飼料の割合が、飼料の必要量全体の中で、少なければ少ないほど、お肉や卵の生産コストが低くなるということなのです。

動物性タンパク質を何で摂るかで、食費の多寡の成否が決まります。そして、そのチャンピョンが鶏、つまり鶏の生産する動物性タンパク質である卵と鶏肉が食費のナンバーワンの貢献者なのです。

 

ここまでお話をすると、「それはなぜ?」と問いかけてきそうです。そこ答えは、「鶏は品種改良の王者」だからなのです。

なぜ鶏が品種改良の王者になることができたのでしょうか。それは、家畜としての品種改良を進める上で、鶏に大きな優位性があったからです。

その優位性とは、
①卵を沢山産むので、沢山子ども(雛)が採れる。
・・・1年に約300個も卵を産むので、1年に200羽くらいの子どもを造ることができるのです。

②ひよこが産まれてから、卵を産むまで5ヶ月
・・・短期間に、沢山の子どもが産まれるということは、品種改良のチャンスが多いということ。考えてみれば、牛は一生の内に子どもを5頭程度、豚でも100頭も産むことはなかなか困難です。

これら以上に、特に鶏の改良の進歩が、他の家畜を圧倒するものであることの理由として、ハイブリット育種(雑種強勢育種)が効果的であるという重大な武器があるのです。このハイブリット育種とは、簡単に要約して説明すれば、「優れた遺伝子を集めるということだけでなく、優れた組合せを見つけてそれを継続できる育種方法」のことを言います。例えば、父親が体重4kg、母親が3kg、子どもが雌雄平均で3.8kgであれば、両親の平均の3.5kgより大きくなる。この時に雑種強勢が発揮されたことが分かり、ここに重点を置いた育種方法のことです。別名「ヘテローシス育種」とも呼んでいます。

鶏は、家畜の中で最もこの雑種強勢が発揮され易く、それを活用した品種改良が進みました。だから、これからも、たぶん鶏は家畜の王者。ゆえに、その生産性の高さが発揮され、卵や鶏肉の栄養当たりの値段が安く食べられるのです。

皆さん、「安心安全な食べ物は、普通の食費で食べられる!」その財源は、卵と鶏肉が生み出してくれるのです。

では、2月号でまたお会いしましょう。

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